放浪記

LightManの放浪旅行記。東西南北ふらふらと。

ビジネスの真髄を見た話

前略

 前回の更新から4日。私にしては高い更新頻度と言えよう。今回のネタは2つ。バイクと、ザムザムだ。バイクについては次の記事で。
 今回は長いよ(笑)。

古い行きつけ

 ザムザム。久しぶりに書く単語だ。長い読者の皆様は覚えがあるんじゃなかろうか。そう、埼玉は西川口にあった蘭州麺屋だ。
 中国から日本に越してきた店長が目の前で打ってくれる極太モチモチ麺と特製ラー油、半日煮込んだスープは至極の一杯。しかもそれが¥800ともなれば通わない理由はなく、3年前の上京時には足蹴く通っていたものだ。
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タクシーよりフェラーリ

 それがこの度半年前くらいに東京は広尾に移転したそうで。先日止まったバイクの修理が終わったとの連絡を受けた私は埼玉に行きがてら寄ったってわけ。
 東京は環8沿いと17号までしか土地勘がなく、広尾は今回がはじめて。メトロを降りると気づく異変。どこもかしこも高級車だらけなのだ。ウン千万もするフェラーリが何台も走ったりと、兎に角おハイソ、Poshな街ということは理解できた。

高級レストラン

 駅から歩くこと10分弱。見えた店の看板には呼びなれた屋号。しかし引き戸の狭い戸口ではなく、ガラスの綺麗な勝手口。記憶の中のザムザムとは全く異なる店、ラーメン屋と呼ぶにはあまりにお洒落過ぎる、最早レストランが、そこにはあった。
 店に入って出されたのはメニューブック。移転前店舗はA3ラミネートではなく、まるでホテルの中華料理屋の様な製本タイプ。見る前から高級感が漂っていたが値段に驚愕、なんと松竹梅形式で一番下でも¥3000也。
 流石に躊躇ったがものは試しで注文。結論から言うと、3年前に恋したあの味そのものだった。

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VA

 しかしてボンビーな私は聞かずには居れないわけで。「何故¥800だったラーメンが¥3000になるのか」と。移転前からこだわりを持った芯のある店主で、ぼったくりなどする人でないのは判っている。だからこそ、何故。
 食べながら教えてくれた。「昔とはコンセプトが違うのだ」と。移転前は失われつつある蘭州麺の味を遺していくと言うアツい思いは持っていたものの、安価で回転率を上げることで運営していそうだ。
 実は店長さんの故郷蘭州では、ただただ安さに傾倒した化学調味料マシマシの(彼にとって)ホンモノではない味の店が蔓延り、昔ながらの味を知る人が少なくなっているとのこと。
 だったら、銀座や渋谷といったおハイソエリアで、その価値を理解してくれるお客さんを相手にもっと丁寧に仕事がしたい。そう考えた上での値上げ&移転だったそうだ。

伝承者

 その証拠に店長さんを含む店員さんのエプロンには「蘭州料理」の文字が。確か移転前にはなかったと思われ、単なるラーメン屋ではなく蘭州料理の伝承者としての意志、そして「如何に納得してお金を出して貰うか、そしてそのためにどこまで自分の仕事にシビアになれるか」というビジネスの真髄を感じた気がした。

最後に

 理由を聞けば払ってもいいなと思う"正当な"値段。もちろんハラルも健在で相変わらず綺麗な店内。
 単純に、バリ美味い。渋谷辺りに行ったら、皆様も是非。