放浪記

LightManの放浪旅行記。東西南北ふらふらと。

50㏄を卒業した話

初めに

 技術伝搬を目的で読んでくださる読者のためにざっくりいうと、C50型カブ50㏄にHA02型カブ90㏄のエンジンをスワップしたことを書いた記事である。大きな注意点は2点。90㏄に50㏄用のアクセルワイヤーは合わない(微妙に長さが違い50用のままの場合も組めるが、吹き上がりっぱなしになる)ことと、マフラー用のステーを削る必要がある(90のエンジンに50のマフラーでガスケットともに適合するが、ステーの長さがボルトに合わない)ことである。なんのこっちゃ判らない方は次の見出しからどうぞ!

地球一周とちょっと

 例の通りコロナなのであまり出かけていない。で今手を付けているのがカブの整備だ。通勤通学は勿論、遊びのツーリングまでいつもお世話になっているのでチェーンを掃除したりしていた。しかし肝心のエンジンから異音がするので、どうしたものかと悩んでいた。というのもエンジンをオーバーホール(分解整備)は結構な額になるのだ。以前郵政カブ(郵便局から払い下げられたバイク)に乗っている人から話を聞いたが15万弱かかったそうだ。流石に10万円越えは厳しい。かれこれ5万キロ走っているし、それならいっそのこと大きなサイズのバイクにステップアップしようと思い立ったわけだ。

 しかし125㏄を超えると保険料が変わるのでそれ以下(所謂50㏄原付の上の原付二種)に収めたかった。ジモティーや県内のバイク屋さんに問い合わせてみたが原付二種はニッチなのかこれといったものがない。唯一あったCBX125なるバイクも高性能なのはいいが修理にお金がかかりそうだしそもそも部品があるのかもわからずボツ。で決めたのがカブの排気量増大化だった。

初めてのボアアップ

 カブに載っているエンジン通称横型は、モンキーやダックスといった他のバイクと共通の部品が使える。そして特にモンキーで多いのが排気量増大(ボアアップ)をする改造だ。役所に申請しさえすれば排気量アップそのものは違法ではなく、むしろ手軽にしかも新車を買うよりは安価で便利である。

 しかし変なこだわりだが今使っている50㏄のエンジンは何も手を加えずに残しておきたかった。折角50000キロ走ったエンジンだからこそそのまま残しておいて、先で整備して孫に乗ってもらいたいとかそんなことを考えているからだ。そこで新たに90㏄のエンジンを入手。お値段4万円也。昨年の卒業生からタダで譲ってもらった原付スクーター2台を泣く泣く手放しお金にし、足しにした。

信じる力

 お世話になっているバイク屋さんに話をし、載せ替えを頼むことにしたが90㏄と50㏄では配線が異なるため積み替えには時間がかかるとのこと。新車購入シーズンということもあり忙しいらしく、エンジンを手に入れたのが四月下旬だったが作業出来るのはGW明けと言われ。待てない、どうしたものかと眠れない夜を過ごした結果、自分でやってみることにした。問題の配線は無事調達、かつ元の車体に接続することが出来たのでそのまま作業開始。エンジンは先にバイク屋さんに預けていたのでバイクを持っていき、駐車場をお借りして作業した。製造されて23年間一度も下ろされていなかったであろうエンジンを留めたネジは固く、またエンジンの車体側に隠れた面はヘドロが付着し最高に汚かった。 

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 エンジン自体は20キロ弱。一人で持てないことはない、ってぐらいの重さだったので何とかなった。幸いカブはエンジンの仕組みが簡単なので、というかスクーターと違って全てが見えるところにあるので、作業は難航しなかった。ただ、未知のことへの若干の恐怖があった。そこはチューニングパーツメーカーの雄ヨシムラのサイトに書いてあった「絶対に成功すると信じて作業してください」という言葉を信じて作業した。2時間ぐらい悪戦苦闘した結果エンジンを車体から取り外すことが出来た時には思わず歓喜の声を上げた。

ようやくの黄色ナンバー

 それからエンジンを下す(取り外す)工程と逆をして無事エンジンを取り付けられたことは言うまでもない。アクセルワイヤーが元の車体と載せ替えた後の車体とで違ったこと以外には大きな支障はなく、無事エンジンをかけることもできた。いろいろと知恵は貸してもらったものの実質一人で作業したので流石に自分は勿論、バイク屋さんもまさか成功するとはと驚いていた。大変だったけどいい時間だったし、なんだか変な自信が付いた。

 役所にナンバーを貰いに行ってようやく白から黄色にナンバーが変わった。箱根大観山に登った時も、日本縦断をした時も「黄色ナンバーじゃないのに頑張るなぁ(白色ナンバーの50㏄だとパワーがなくて時間がかかる)」と言われ、50でもやればできるんじゃいと思っていた。しかし今回載せ替えて感じたのは、やっぱり排気量が大きいと楽だということである。車の流れについていけるし、無条件に30キロのスピード制限が付くわけでもない。今思い返すと「黄色ナンバーじゃないのに頑張ってたなぁ」と本当につくづく感心するのである。