放浪記

LightManの放浪旅行記。東西南北ふらふらと。

憧れのセビルローに行った話

白洲次郎という男

  小さい頃、父の本棚である雑誌を見つけた。1998年発行の「太陽 創刊35周年記念号 特集白洲次郎」である。波乱万丈な彼の人生、そしてダンディな生きざまは子供ながらカッコイイと感じるものがあり印象に残っていた。

 そして渡英前、ふとケンブリッジに留学した彼のことを思い出しこっそり雑誌を持ってきていた(父が探していないことを祈る)。彼ほど長い滞在時間でもなく、また大学留学でなく単なる語学留学なので僕と彼とでは月とスッポンではあるが、やはり憧れの大人物と同じ国に住んでいるというのはなかなかテンションが上がるものである。

 その彼が留学中から生涯愛した仕立て屋がロンドンにあるというので行ってみることにした。

 セビルローではなくサビルロー

 ブリストルからロンドンについたのは早朝9:00.早くも観光客でにぎわうバッキンガム宮殿正門を横目に北に歩く。何の変哲もない通りが突然華やかになる。グッチやシャネルのブランド、バシュロン等の高級時計屋が軒を連ねる「ニューボンドストリート」だ。その並びにそれはあった。

 HenryPool商会である。雰囲気としては映画キングスマンを想像していただけるとありがたい。(因みに以前キングスマンの店舗だと書いたところは期間限定のディスプレイだったみたいで、正しくはサビルローのどれかがモデルとのこと。)この時代に手動のドア。軋みながら開いていくドアとともに中へ入るとなんとも重たい空気。大きな椅子には既に先客が。エレガントな白髪の夫婦が恐らくフランス語だろう、静かに話していたがやがて店の奥へと消えていった。で僕はというと憧れの白洲次郎と同じようにジャケットを仕立てたいとは問屋が卸さないわけで。しかし曲がりなりにもこの国で働いていたわけで、ジャケットは無理だったが手が届いたハンカチを買うことにした。お値段£60也。かなり背伸びしたがまあ次来たときはジャケットを買うんやという決意としては良かったなと。

 

www.1jpsho.com

 店内の壁に掛けられた「日本皇室御用達」の書類を見ていると店のお偉いさんから声をかけられて。日本にはEmperor HirohitoやPrime Minister YoshidaそしてJiro Shirasuなどの顧客がいたんだと言われ、思わず声が出た。皇室でも政治家でもないのに名前を覚えられる外国人。小さい頃から憧れた快男児はやっぱりカッコよかった。因みに背広はセビルローから来ているという説は有名だが英語の発音的にセビルローでは通じず、正しくはサビルローだった。

 
 
 
 
 
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お土産に彷徨う一日

 家族や友人から依頼されたお土産を買いにニューボンドストリート周辺を歩き回って最後にタバコ屋に行った。二階に無料開放のラウンジがあり、窓から差し込む日を浴びながら煙草を楽しんだ。

 サビルローでの買い物は勿論様々なブランドの旗艦店に行ったのでなんだかポッシュな気分になった一日だった。その日はN爺兄の家に泊めてもらった。